こんにちは!
お酒は嗜む程度ですが
昨夜はペルノを半本も空けた店主です。
今日は珈琲のお話しを
『珈琲だけの店 カフェ・ド・ランブル』
という老舗コーヒーショップ
口コミサイトはこちらカフェ・ド・ランブル。
珈琲の聖地、原点、ひとつの頂点。
という場所です。
何よりエージング(熟成)ビーンズで有名なこのお店。
いわゆるオールドコーヒーです。
お店のメニューを見渡すと
通常メニューの他に
80・90年代に購入した生豆はもちろん
『54’コロンビア』『62’キューバ』
とか何事も無くメニューリストに並んでいます。
それだけで衝撃なんですが…
さて、どんな味なんでしょう?
味わいは見事に枯れていて
保存状態はとても良好だったことが伺えます。
とても酸が強いですが
舌の中心に集まる鋭い酸なので
これをエージング(熟成)していた方が
熟成への造詣に深いことを物語ります。
甘さ。という要素は無くなり
糖分は残っていません
『カフェ・ド・ランブル』ですから
コーヒーのたて方は文句なし。
さて、ぼくがお願いしたのは
54’のコロンビア
マイスターが
コーヒーを淹れているときは声も出せないような
真剣勝負という雰囲気がビシビシと
伝わってくるカウンターでのことです。
この1954年産のコーヒー
美味しいのか?というと、とても難しい質問です。
ただ酸っぱいだけ。
ひとことで済ませてしまうことも出来るでしょう
少しプロっぽい事をいうと
余韻が長く深い奥行きの中に隠れた甘さが…。
と、こうなるはずなんですが
甘さがまったく無い(笑)
あらゆる成分に糖分が吸い出されて
美しく枯れきっています。
うーん。しかし
いまだに強い生命力を感じます。
酸欠状態で呼吸が出来ないかのような
口にしているこちらが息苦しくなる
そんなコーヒー。
『味』を構成する要素が
窒息状態でバラバラになり
それぞれが自らの命を守るために
冬眠に入っているかのようです。
それはそれでこれ以上は無いほど
静かで穏やかな味として素晴らしいのですが
これは珈琲の世界で約60年
2015年には100歳を迎えた
銀座の伝説ともいえる『カフェ・ド・ランブル』
初代オーナーが過去を振り返りながら
時間を嗜むというような趣きです。
『コーヒーはブラック』
というのが一般的で
ぼくも普段は一切、糖分は足しません。
あの殺伐とした
『カフェ・ド・ランブル』のカウンターで
勇気を出して砂糖を頼み
イタリア人が飲むエスプレッソのように
ガッツリ砂糖を入れてやることにしました。
もちろんそんな事したことはありません
どうか、どうか糖分を…。
という声にもならない
あきらめにも似た感じがコーヒーから
聴こえた気がしたので。
その『声』に応えてみることにしました。
書いている今もあの瞬間を思い出して
ふるえてきます。
(鳥肌ものです)
味の設計図のような枠組みは残っていて、
ずっと何かを求めていた生物が一気に息を
吹き返すような
凄まじいエネルギー、生命力。
凄い。
美味しい。とかもうわけわからないくらいに
エクセレント。
もともとあった鮮やかな色彩が
時間とともに風化していたところへ
もう一度
その色彩を吸い上げて取り戻していくかのような
輪郭はあるんだけど
凄い勢いで色が入ったため
油絵のように輪郭が滲み見たこともないような
抽象画を飲んでいるかのようです。
砂糖という甘さは一切感じません
時間を一気に取り戻しただけ
豆本来の甘さというほど一瞬で溶け込んでいます。
なぜ?『カフェ・ド・ランブル』ほどの名店が
純粋な上白糖だったのか
あの殺伐としたカウンターで
『ふぅわ。何だこれ!』
と声を発しながらうねうねと悶絶しました。
(外から見たら心配されそうなほど)
だって、
ただコーヒーに砂糖を入れただけですから。
まあ。それだけの話しなんですが。
ぼくからこの話しを聞いて
友人が伺ったとき
同じように砂糖を頼んだら
ウエイターの方に
だったらはじめから甘いコーヒーのめば?と
真剣に言われたそうです。
口足らずな友人はきっと
『カフェ・ド・ランブル』の歴史の重さに
打ちのめされたことでしょう。
誤解なく言いたいのは
ランブルのカウンターで
真剣でなければそんなことは出来ません。
さいごにtrenteのコーヒーアイテムをご紹介!
お世話になっている『Cafe ふくろう』さんで購入した
コーヒーポット&温度計
先端の部分を細くしてお湯を注ぐときに
狙ったところへ落とすという
『Cafe ふくろう』店主が使っていたポットを
お願いして複製していただいたもの
左はピーベリー・右はフラットビーンズ
珈琲豆は通常、実の中で2つの豆(たね)に別れるので
(|) ←このように一面が平らになるのですが、
() ←約5〜10%くらい結実不良でこのように1つになる実があります。
trenteでは好んでピーベリーを使います。
ランブルでの話しのように生きようとする力
生命力を感じる気がするからです。
今回はコーヒーのお話しでした。
よい週末を!