店頭では
いろいろな瞬間に出会います。
そんな中から
印象に残った出来事をひとつ
それはとても寒い日。
着ている上着の数も多くなりそうな1日でした。
そんな誰もいないところへ
2人組が。
年は男性の方が上な感じか…
ハンガーは2つ
彼の方が先にさらっと
数枚の着込んだ上着を脱ぎ捨てて
無造作に物置台へ
すると一緒にいた彼女は
自分の上着に構うこと無く
彼の無造作に置かれた上着を
ひとつのハンガーに掛けはじめた
彼は置いといてよ、面倒だしいいよ。
と、言っている
ここまではよく見る光景。なんだけど、
あ、ごめんなさい。と彼女
あまり慣れているとは言えない手つきで
彼の上着を丁寧にハンガーへ
そんな彼女と
手伝い始めた彼の感じでわかった。
そうか。彼は彼女が着ている
服の数が多かったので
両方のハンガーを彼女に使わせたかったのか
ふむ。たしかに彼は几帳面そうだし
ドサッと下に上着を置くような感じに見えない。
とても優しそうな彼女は彼女で
彼への気遣いがあり過ぎて
うーん。何とも言えない感じだ。
結果ふたりの上着は
2つのハンガーにきれいに収まった。
お互いへの思いやりが
とってもあるのはわかるんだけど
残念ながら噛み合っていない(笑)
なんて不器用なんだ。
はじめから
ハンガー1つを分け合えば良かった
だけのことじゃないだろうか。
もしくは彼が彼女の上着を
両方に掛けてあげればいいのに。
その上から自分の上着を掛ければいい。
無造作に上着を置いた彼も
彼女がそれをほっては置けない子だと
わかるはず
そのままにして置いてほしい
そんな彼の性格も
彼女ならわかっていたはず
目の前にあるのは
2人の上着が別々にかかったハンガー
誰にでもこのハンガーの結果を
かえることは出来たはずだ。
しかし、よくよく見ると
不器用に掛かっている2人の上着が
おもいやりにあふれて見える。
その時の精一杯な
2人の気持ちがそこに残って
あふれたからだ。
はじめにハンガーを分けても
先に彼女の上着をハンガーに掛けても
それは起こらなかった。
掛けるつもりがなかった
彼の上着がハンガーに掛かり
そんな彼女を気遣って
お互いの上着を丁寧に整えて
ハンガーに収まったから
不器用なハンガーが
2つできたわけだ
自然な行動が
相手へのおもいやりにあふれていて
見ていて暖かい気持ちになった。
いまもきっと
不器用なままなんだろうな
素晴らしい時間でした。